本機も私の特にお気に入りのマニュアルレコードプレーヤーです。
私は故長岡鉄男氏のファンですが、このプレーヤーは長岡氏が特に高く評価していたQL-7Rなどの系統の機種になります。
長岡氏は底板がカンカン鳴ってハウリングマージンが低いと言われていましたが文中でも少し触れたように市販品では対策されています。
しっかりとブチル系のゴムでダンプされ特にカンカン鳴るような事も無くハウリングマージンも問題ありません。
レビュー記事はどうしても原稿締め切りの関係で試作機でのテストになってしまう事が多かったようでこれは仕方ありません。
対策された市販品なら文句ない推奨機という事でしょう。
かつて私はやはり長岡氏が高く評価していたYAMAHAのYP-D7を使っていました。
その後、VictorのTT-81ターンテーブルを使って長岡式の積層合板プレーヤーシステムを作りましたが
モーターはQL-7R(TT-71)やYP-D7、TT-81などは全部同じものでした。
本機はQL-7RやJL-B61Rなどの単品を組み合わせた当時の上級プレーヤーとは違いはじめからプレーヤーシステムとして開発された超ハイCP機になります。
実は本機は普及機ながらもモーターは上述のQL-7Rなどと同じものが使われています。
QL-7のTT-71や上位機種のTT-81などはクォーツロック化されたDCサーボモーターを使用したダイレクトドライブですが
本機ではYP-D7などと同様クォーツロックではありません。
ビクターはこのモーター以前にはDDの第一人者の松下製のDCモーターを使っていました。
MICROやAurexなども松下製のDCモーターを使っていましたが、ビクターはその後自社でモーターを開発し
特に本機やTT-71に採用したDCモーターをYAMAHAなど各社に供給することになります。あのGTシリーズもビクター製だそうです。
本機のアームはビクターの単品アームのUA-5045とよく似ていますが少し簡略化された本機向けと思われます。
UA-5045は上位機種UA-7045からヘリコイド式高さ調整機構を省いたもので、7045は長岡氏が『値付けが安すぎて売れなかった
倍の値段だったらもっと売れただろう』と仰ったので販売終了後に大人気になったものです。
現在でも人気は高いのですが、実際はより資材を投入したヘリコイド機構のガタなどによって強力にアームベースには取り付けできないため
音的には5045の方が優位性があります。長岡氏もそう指摘されていたようです。
本機のアームはUA-5045を簡略化してありますが、実質的には音は同等でしょう。JL-B61RやQL-7Rなどにも同系統のアームは搭載されています。
本機は複数台入手したうちの、動作に問題なく程度の良いものを簡単にクリーニング、メンテナンスしたものです。
モーター軸と軸受けはローターを外して古い油をふき取り新たに超潤滑性の特別なオイルを注油しました。
回転調整ボリュームは信頼できる接点復活剤を複数使い分けて使用、接触不良はなくとてもスムーズに調整できます。
本機などによく使用されている松下製のスイッチはよく問題になりますが、接触抵抗を測定しながら接点をクリーニングして問題なく動作します。
当時のプレーヤーなどの電源回路に使われる大型ケミコンは接着剤で止めてあるのですが、雑に塗った接着剤が劣化して回路をショートさせたりします。
ここはいつものようにはみ出た余計な接着剤は取り去り、ケミコンは容量/ESR値をチェックして問題は無かったので
付け直したのですがハンダ付けに失敗したのか破裂してしまいました。このケミコンは新品に交換しました。
古い機器では真っ先にケミコンを全て交換してしまう方が居られますがチェックしても問題はまずありません。
何でも新品に交換すればいいでしょうがケミコンより半導体の方が劣化が多いですね。
ヤニなどで汚れる事の多いプレーヤーですが全体をコンパウンドや特殊なクリーニングワックスなどで磨きました。
ダストカバーはコンパウンドなどで磨き、さらにクリーニングワックスで仕上げてクリアーです。
やや細かい傷やスレはありますが割れや欠けはありません。ただし、よく見ると僅かに光線による曇りと黄ばみがあるようです。
本機以前のダストカバーはアクリル製だったのでこのようにはならないのですが材質が変わったのでしょう。
その他プラッター、アーム、ツマミ、ヒンジなどの金属部もコンパウンドや金属磨きクロスで磨いてピカピカです。
アームはいちど取り外して各パーツごと丁寧に磨き、軸部もクリーニングして感度良好です。
ビクターのこのタイプのアームは連結部のゴムが劣化してウエイト部が下がるものが多いのですが調整してほとんど問題はありません。
リフターのグリスも交換してゆっくりとスムーズに降ります。使いやすいダイヤル式のインサイドフォースキャンセラーも問題はありません。
本機はパーティクルボードを加工して木目化粧シートで仕上げたものです。
剥がれやすい角部は特に問題ありませんがここもよく見ると僅かに欠けがあり目立たないよう着色+クリアー塗装で補修しました。
パーティクルボードは古くなると経年劣化しやすいので木口などはクリアー塗装して劣化防止しました。
劣化しやすい脚部のゴムも問題ありません。ゴムシートはクリーニングして他のゴム部同様保護剤をかけてあります。
その他、年式なりのキズ、スレなどがあります。
添付の画像をよくご覧になってご検討ください。写真は下手で申し訳ありませんが多めにupしておきました。
その他、回転も安定してストロボスコープも問題なく止まり(33回転)、回転調整もスムーズに行えます。
本機のプラッターのストロボパターンは33回転用のみで、45回転はゴムシート上のストロボ盤で確認します。
また、33回転でストロボが止まるよう調整すればそのまま45回転もストロボは止まるよう内部の調整しました。
このタイプのストロボ盤は家庭の蛍光灯などの明かりを利用しますがインバーター式やLED照明では使えません。
この点はご承知おきください。ここは実際にはスマホアプリを使うと良いかと思います。
付属品は、ゴムシートとEPアダプター、純正ストロボパターン盤です。
なお、画像にあるレコードはテスト用なので付属しません。
アースケーブルは内部でR-chケーブルのシールドに落としてあるので接続する必要の無いタイプです。
マニュアルはありませんが参考として上級機QL-7Rの取扱説明書のコピーをお付けします。
QL-7Rはクォーツロック化された上級機ですが、同じモーターと同じUA-7045/5045系のアームを搭載しています。
どちらもマニュアル式プレーヤーでアームも違いはあっても同系統なので使い方は同じと思います。
即決で購入された方には上述のテクニカ製VM型カートリッジAT-12Eとシェル、スタビライザーAT618をお付けします。
この組み合わせ本当にお勧めです。即決価格は少し高額にはなりますが絶対に損はさせません。
本機はオート機構など全く無いマニュアル式ですので慣れた方なら問題ありませんが
はじめてレコードプレーヤーをお使いになる方はアームのバランスのとり方や針圧の掛け方、アームの高さの合わせ方
カートリッジの取り付け方など一般的なプレーヤーの使い方をよくお調べになってからお使いください。
よくプレーヤーで問題になるのはカートリッジの取り付けによる接触不良とアームやリフターの高さですね。
ビクターはもともと
日本ビクター蓄音器といったくらいでレコードプレーヤーの専門会社だったんですね。
この機種の頃には上位機種JL-B77には自社開発の最高レベル(現在でもこれを超えるのはあるのか?)のモーターを開発したり
この後ごく一時期ACモーター(JL-B61/TT-61など)を開発採用したり、また本機などのDCモーターを開発採用しその後のメインモーターとして
自社機はもちろんヤマハやマイクロなどにOEM供給する事になります。
一時期各社に供給していた松下にならって
短期間に試行錯誤した後に各社に多数供給できるモーターを開発したのだと思います。
同時期に多種類のモーター採用の機種があるのはプレーヤー専門会社としての誇りがあったのでしょう。
この機種はクォーツロックになる前の機種ですので回転が安定しないのではとお気になさる方も居られるかと思いますが
私が多数のプレーヤーを使ったところでは全く問題ないと確信します。
クォーツロックでないと音が変化するとかクォーツの方が音が良いとかはありません。クォーツなら調整がいらないというだけです。
ストロボが安定して止まらないと気にされる方も居られるかと思いますが、ストロボは電源の50Hzまたは60Hzの明滅を利用しているので目安にすぎません。
実際には電源周波数はその地域の電力使用量によっては微妙に変化するのです。
発電所はその変化をできるだけ少なくする努力はしていますがクォーツ並みにする事はできません。
DCサーボモーターですからプラッターの回転数は電源周波数には影響されません。周波数で変化するのはストロボの明滅周期です。
この変化を回転の変化ととらえて頻繁に回転調整をするとボリュームが劣化してしまいます。
レコードプレーヤーは本機のように丁寧に作られていれば、まず良い音がします。その中ではアームがいちばん音に影響するかもしれません。
機能的で美しいアームは良い音がするものです。銘機UA-7045の系統のこのアームもとても良いですね。
普及機ながら音に拘った本格的な定評あるDCモーターと重量級プラッターを組み合わせたとても価値のあるプレーヤーと思います。
力強くしっかり安定感のあるクリアーでとても解像感の高い音です。
実際にお手にとられてみれば当時の価格とは釣り合わないハイCPさに驚かれるはずです。
豪華なローズウッド調の仕上げ、しっかりと重いプラッター、単売の名品に近いアーム、上級機と同じ強力モーター
など素晴らしい出来栄えとその音です。
レコードプレーヤーはオーディオ製品の中では特に繊細でその取り扱いには熟練が必要かと思います。
私は今でもレコードを聴くことがメインで多くのプレーヤーを使用してきました。
やはりオーディオマニアでしたらレコードを聴きましょう。
メカ部分がほとんどのアナログレコードプレーヤーはオーディオ機器の中では本当に特別な物と思います。
リサイクル業者の方などご自身で全くプレーヤーを扱う事のないオーディオとは無関係な方が梱包を行うとプラッター
ゴムシート、アームなどをロクに固定もせず送られてしまい本当に呆れる事が多いです。いくら細かく説明してもわからないのですね。
たとえばコード、ケーブル類をほとんどの方はジャバラに折って束ねますね。
これは輪っかにしましょう。メーカーの出荷時にそうしてしまうのをマネするのでしょう。
新品なら良くてもケーブル類は経年で硬くなります。音響のプロは必ず輪っかにしますね。
この点私は趣味でプレーヤーを扱って来ましたので梱包、発送に関しては安心してお任せください。
プラッター、ゴムシート、カウンターウェイトなどは取り外して同梱します。アームはテープなどで固定して緩衝材も使います。
ただし、段ボール箱や緩衝材はリサイクル品を使いますのでご了承ください。
□配送は送料のお徳なおてがる配送ヤマト運輸宅急便(EAZY)、大きさは120サイズになると思います。
□新規の方、悪い評価がある方は即決で落札されても落札者様都合でキャンセルさせて頂く場合があります。
落札後連絡がとれず受取連絡もされない方がいます。新規の方、悪い評価の多い方は入札前に質問欄から必ずご連絡ください。
□動作しない、音が出ないなど重大な初期不良には対応します(商品到着後7日まで)。
とても古い商品です。その後の故障などについてはご容赦ください。
中古商品になります、あまりに神経質な方、購入意思の無い方、完璧を求める方の入札はお控えください。
さらに画像があります。