絶版希少本 小品盆栽専科 花物編 樹種別仕立て方のコツ
図解教本 ミニ盆栽
明官俊彦
主婦の友社
1978年
269ページ
約24x19x2.5cm
ビニールカバー付き
巻頭口絵カラー写真14ページ 本文モノクロ
※絶版
高度成長期の日本で、盆栽文化が最も豊かであった時代に人気を博した、
小品
盆栽に特化した盆栽書シリーズのうちの一角。「花もの盆栽」
小品盆栽の神様と称された、明官俊彦
(東京アマチュア小品盆栽会理事、日本小品盆栽会常任理事、日
本小品盆栽会副会長、日本小品盆栽協会顧問を歴任)
が長年かけてつかんだ、
小品盆栽の中でも花物盆栽の管理培養や花芽を持たせるためのコツ、知識、樹形づくり技術のすべてを惜しみなく公開。
長く小品盆栽のバイブルとされてきたもの。
巻頭カラー口絵写真では、貴重な名品の盆栽鉢が使用されており、こちらも必見。
(九谷焼、中田武山、東福寺、平安香草、小糸泰山、山田鋭和、寿悦、丹波焼、和鉢、平安香山
ほか
)
イラストや写真、図解で樹種別にその特徴、素材選びから管理方法、見どころ、増やし方までをわかりやすく丁寧に解説。
内容充実、小品盆栽、ミニ盆栽、実物盆栽等愛好家必携の大変貴重な資料本、教本となっています。
「こんなに小さい木で、よくこれほどきれいな花が咲かせられるものだねえ」-思わず嘆声をもらしました。会杜の職人に誘われて、その家をたずね、はじめて盆栽と出会った、二十一年前のことです。
広いとはいえない庭に、ウメ、サツキ、ニシキマツ、ゴヨウマツ、クロマツなどが、二、三百鉢ほど並んでいましたが、ちょうど六月のはじめだったので、いろいろの花芸のま匕り合ったサツキの花が。それはみごとに咲いていました。
今になって思えば、不思議でもなんでもないことなのですが、小・中品の盆栽をはじめて見、そのうえこんなにりっぱに咲いた開花の容姿を見せつけられては、ただただ感嘆のうめきがもれるだけでした。
そして、おみやげに、さし木三~四年生のサツキの「十六夜」を一鉢いただいてきたのが、私の盆栽の始まりですから、今日の盆栽気違いは、花もの盆栽から始まったともいえるのです。
しか。し。その後、一鉢二鉢と集めてみますと、マツにはマツのよさがあり、雑木には雑木のよさがありで、同じ花ものでも、サクラにはサクラのよさがあり、ウメにはウメでなければ味わうことのできない、深い味わいがあることがわかりました。一つの樹種がどんなによくても。他の樹種のよさまで植物は表現してくれません。
そして、たくさんの樹種を育ててみたのですが、同じ花ものでも花芽を持たせるためには、樹種によって相当培養手入れが異なることがわかりました。木を弱らせたり、枯らしたり、一つの樹種の培養のコツをつかむのに、五年も八年もかかった苦い経験の末のことです。
しかし、こんな苦労はできるだけ短期問に卒業したほうが、より花もの盆栽をさかんにできるの
ではないかと思い、この一冊をしるしました。
小鉢で花を咲かせるのはむずかしいと考えていらっしやるかたがいますが、ご婦人や若いかたでも、培養のコツさえつかめば、割合簡単に花が咲いてくれるものです。植物はあなたの小さな努力に、きっと報いてくれます。一輪の花が、あなたと家族をどんなにしあわせにしてくれることか、きっとあなたも花もの盆栽のとりこになること請け合いです。
【目次】
はじめに
〈カラー〉
サツキ
ツクモドウダンツツジ
フジザクラ
ヒバイ
カンボヶ
ムレスズメ
ヒュウガミズキ
イワガサ
ミヤマキリシマ
シモツヶ
レンギョウ
チョウジュバイ
ハコネコメツツジ
キハギ
オウバイ
キンロバイ
ア廾ヒヤマ
ヤクシマハギ
マンサク
サルスベリ
〈二色〉
花もの盆栽の基礎知識
花もの盆栽の特徴
素材(種木)の選び方
植えかえ
置き場
潅水
肥料
病虫害
整姿
なぜ整姿が必要か/切り込み/芽つみ/葉切り/針金かけ
ふやし方
実生/さし木/取り木/根伏せ
〈本文〉
サツキ
サツキの魅力
サツキの種類
素材(種木)の選び方
植えかえ
置き場
灌水
肥料
病虫害
整姿
切り込み/針金かけ
ふやし方
さし木
ツクモドウダンツツジ
ツクモドウダンツツジの魅力
ツクモドウダンツツジの種類
素材(種木)の選び方
植えかえ
置き場
灌水
肥料
病虫害
整姿
切り込み/針金かけ
ふやし方
根伏せ/さし木/取り木
フジザクラ
フジザクラの魅力
フジザクラの種類
素材(種木)の選び方
植えかえ
置き場
灌水
肥料
病虫害
整姿
切り込み/葉切り/針金かけ
ふやし方
さし木/取り木
カンボケ
カンボケの魅力
カンボケの種類
索材(種木)の選び方
植えかえ
置き場
灌水
肥料
病虫害
整姿
切り込み/葉切り/針金かけ
ふやし方
根伏せ/さし木
ムレスズメ
ムレスズメの魅力
ムレスズメの種類
素材(種木)の選び方
植えかえ
置き場
濯水
肥料
病虫害
整姿
切り込み/針金かけ
ふやし方
さし木/根伏せ
ウメ
ウメの魅力
ウメの種類
素材(種木)の選び方
植えかえ
置き場
灌水
肥料
病虫害
螯姿
植えかえ時の切りつめ/芽つみ/花芽の形成/針金かけ/正月盆梅のその後の手入れ
イワガサ
イワガサの魅力
イワガサの種類
素材(種木)の選び方
植えかえ
置き場
灌水
肥料
病虫害
整姿
切り込み/ひこばえの整理
ふやし方
さし木
ミヤマキリシマ
ミヤマキリシマの魅力
ミヤマキリシマの種類
素材(種木)の選び方
植えかえ
置き場
灌水
肥料
病虫害
整姿
切り込み/針金かけ
ふやし方
さし木
トサミズキ、ヒュウガミズキ
トサミズキ、ヒュウガミズキの魅力
トサミズキ、ヒュウガミズキの種類
素材(種木)の選び方
植えかえ
置き場
潅水
肥料
病虫害
整姿
切り込み/針金かけ/ひこばえの整理
ふやし方
さし木
シモツケ
シモツケの魅力
シモツケの種類
素材(種木)の選び方
植えかえ
置き場
灌水
肥料
病虫害
整姿
切り込み/不定芽の整理と花かすの切り捨て
ふやし方
さし木
レンギョウ
レンギョウの魅力
レンギョウの種類
素材(種木)の選び方
植えかえ
置き場
灌水
肥料
病虫害
整姿
切り込み/不定芽の整理/針金かけ
ふやし方
さし木
キハギ
キハギの魅力
キハギの種類
素材(種木)の選び方
植えかえ
置き場
灌水
肥料
病虫害
整姿
切り込み
ふやし方
さし木/取り木
ハコネコメツツジ
ハコネコメツツジの魅力
ハコネコメツツジの種類
素材(種木)の選び方
植えかえ
置き場
灌水
肥料
病虫害
整姿
切り込み/芽つみ
ふやし方
さし木
チョウジュバイ
チョウジュバイの魅力
チョウジュバイの種類
素材(種木)の選び方
植えかえ
置き場
灌水
肥料
病虫害
整姿
切り込み/胴吹き芽の整理/針金かけ
ふやし方
さし木/根伏せ
キンロバイ
キンロバイの魅力
キンロバイの種類
素材(種木)の選び方
植えかえ
置き場
灌水
肥料
病虫害
整姿
不定芽の整理/切り込み
ふやし方
さし木
アサヒヤマ
アサヒヤマの魅力
アサヒヤマの種類
素材(種木)の選び方
植えかえ
置き場
灌水
肥料
病虫害
整姿
切り込み/花後の切りつぬ/針金かけ
オウバイ
オウバイの魅力
オウバイの種類
素材(種木)の選び方
植えかえ
置き場”
灌水
肥料
病虫害
整姿
切りつめ/不定芽のつみとり/針金かけ
ふやし方
さし木
ヤクシマハギ
ヤクシマハギの魅力
ヤクシマハギの種類
素材(種木)の選び方
植えかえ
置き場
灌水
肥料
病虫害
整姿
切り込み/針金かけ/胴吹き芽の処理
ふやし方
さし木/取り木
マンサク
マンサクの魅力
マンサクの種類
素材(種木)の選び方
植えかえ
置き場
灌水
肥料
病虫害
整姿
切り込み/芽つみ/針金かけ
ふやし方
さし木
サルスベリ
サルスベリの魅力
サルスベリの種類
素材(種木)の選び方
植えかえ
置き場
灌水
肥料
病虫害
整姿
切り込み/針金かけ/葉切り
ふやし方
取り木/さし木
〈樹種別年間培養暦〉
サツキ
ツクモドウダンツツジ
フジザクラ
カンボケ
ムレスズメ
ウメ
イワガサ
ミヤマキリシマ
トサミズキ、ヒュウガミズキ
シモツケ
レンギョウ
キハギ
ハコネコメツツジ
チョウジュバイ
キンロバイ
アサヒヤマ
オウバイ
ヤクシマハギ
マンサク
サルスベリ
撮影 狩野鎮雄(日本小品盆栽協会会員)
写真協力「自然と盆栽」(三友社)
イラスト 岡崎紀(多摩美術大学助教授、新制作協会会員、日本小品盆栽協会理事)
【花物盆栽の基礎知識】より一部紹介
よい花もの盆栽を作るには、花ものについての正しい見方と、培養知識を持つことがたいせつ
花の咲かない花もの盆栽、こんなつまらないものはありません、小品の松柏盆栽、ほとんどの雑木盆栽も花は咲きませんが、一年じゅうパリッとした緑葉を保ち、荒々しい幹肌、迫力ある木ぶり枝ぶりを楽しませてくれたり、四季の変化を、家に居ながらにして観賞させてくれたりで、それはそれなりに盆栽樹種として十分観賞価値があります。
しかし、本来花を楽しむ花もの盆栽に花が咲かなかったら、盆栽としての価値も半減以下です。そのため、花もの盆栽は、樹形的なものはもちろん、プラス花芽を持たせる知識と、培養技術も加味されなければならないので、その分だけ、他の樹種よりむずかしく、それだけに楽しみも深いといえるのではないでしょうか。
【著者略歴】明官俊彦(刊行当時の情報です)
昭和二年、富山県に生まれる。
昭和二十年、富山県立上市農林学校農業科卒業。その
後五年間自家農業につく。
昭和二十六年上京。浦田車輛興業株式会社入社。鉄工、
木工。艤装、塗装見習い、建築現場見習いをへて、昭和
三十一年、同社横浜支店長、三十六年、同社専務取締役。
四十一年、藤友鉄工と改名、同社専務取締役として現在
に至る。
昭和三十三年ごろから趣味として小品盆栽を始める。
三十九年、東京アマチュア小品盆栽会理事。四十一年、
日本小品盆栽会常任理事。四十五年から四十九年まで日
本小品盆栽会副会長。現在。日本小品盆栽協会顧問。著
書としては「樹種別小品盆栽Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ」(三友社刊)、
「全国名木小品盆栽」(主婦の友社刊)など。